七番隊隊長・狛村左陣(こまむらさじん)。
護廷十三隊のなかでも、一人だけ半獣という異質な隊長です。
その卍解である『黒縄天譴明王(こくじょうてんげんみょうおう)』は、作中でも出番の多い卍解です。
しかし、この黒縄天譴明王はあまり勝利に結びついていない、狛村隊長は負けるシーンが多い、と言われています。
この黒縄天譴明王を使わずに、あえて始解のまま『天譴(てんけん)』を使ったほうが強いのでは?という考察と、卍解をそれでも使う意味、について考えてみようと思います。
狛村左陣、始解のほうが強い説
狛村左陣の斬魄刀『天譴』。
卍解より始解のまま戦ったほうが強いのではないか、という理由と考察を3つ挙げてみます。
①刀身のサイズが一緒
まず1つ目は、攻撃方法についてです。
『黒縄天譴明王』は、明王という大きな鎧武者が現れ、巨大な刀を振りかざします。
『天譴』は、その腕と刀身だけが現れ、巨大な刀を振りかざします。
明王本体が、物理的にパンチできるという利点はあるものの、基本的にはもちろん刀での攻撃が主体だし、その方が強いでしょう。
攻撃のサイズ、刀身のリーチが同じとなれば、わざわざ卍解しなくても始解でいいのではないか?という疑問が生まれます。
しかも、死神にとって、卍解は霊圧の消費が大きく負担になるはずです。
同じような攻撃なら、始解で十分な性能なのです。
②自身へのダメージがない
2つ目に、黒縄天譴明王の1番の特徴でもあり、1番の弱点になってしまっている、自身へのダメージについてです。
黒縄天譴明王は、狛村に完璧にリンクしており、動きだけでなく明王へのダメージはそのまま狛村に反映されてしまいます。
しかし、始解にはこれがありません。
実際にこの上記の写真のシーンがすごく良い例で、コミックス45巻にて藍染惣右介と戦うシーンです。
このシーン、卍解を出す前、最初は始解の天譴で攻撃しています。
その天譴の刀身を藍染に破壊されているのですが、始解のため、狛村にダメージはありませんでした。
その直後卍解してしまい、現れた黒縄天譴明王が攻撃され、腕が切り落とされたのです。
③始解・天譴の方が動作にスキがない
3つ目に、始解・天譴のほうがスキがない事です。
攻撃の際、明王が召喚される予備動作がなく、すぐに攻撃できます。
スキがないわりに攻撃のリーチがバカでかい為、突然攻撃されると避けるのも困難でしょう。
そして、避けられて移動されたとしても、鈍重で大きな卍解を出している時よりは反撃を食らわないでしょう。
狛村が更木剣八と戦うシーンで、剣八は、狛村左陣と東仙要の攻撃をまともに食らっています。
更木剣八のことですから、攻撃をわざと食らって余裕を見せた可能性はありますが、卍解に比べると不意打ち並に避けにくような印象を受けます。
ちなみにこのあと卍解するのですが、そこで戦いは中断されます。
もしかすると、のっそりと出てくる黒縄天譴明王は、更木剣八の格好の的になっていたかもしれません。
卍解・黒縄天譴明王の良い点
ここまで、卍解より始解のほうが強いのではないかという考察をしてきました。
しかし、流石に完全な下位互換というわけではなく、利点もあります。
ここからは、卍解・黒縄天譴明王ならではの良い点を2つ挙げたいと思います。
①黒縄天譴明王・断鎧縄衣(だんがいじょうえ)
半獣である狛村左陣が、人化の術を使い、一時の不死身になった際の卍解。
狛村自体も不死身なのは当然の事、黒縄天譴明王も鎧を脱ぎ捨てて不死身になっています。
明王に鎧がないのは、鎧が本体で狛村の命そのものだったため。
結局、この人化の術と断鎧縄衣を使った後、狛村左陣は獣の姿になり、亡くなってはいないものの隊長を辞めることとなりました。
卍解しかできない利点ではありますが、人生で一度きりの大技です。
②卍解の修復ができる
BLEACHの設定に、『卍解が壊れると、修復することはできない』というものがあります。
主人公、黒崎一護の『天鎖斬月(てんさざんげつ)』は、折れてしまい刀から打ち直すことになりました。
十一番隊、斑目一角の『龍紋鬼灯丸(りゅうもんほおずきまる)』に至っては壊れたままです。
しかし、この狛村左陣の『黒縄天譴明王』は、本人と結びつきが極端に強い卍解のため、壊されても、狛村の再生が卍解の修復になるのです。
他の死神の卍解には一切ない、完全な例外を持っているのは良い点と言えるでしょう。
最後に
狛村左陣は、斬魄刀を卍解させず、始解のまま戦ったほうが強いのではないか?という点について書いてみました。
今回改めて狛村左陣について見てみると、あまりに始解のシーンが少ない事も印象的でした。
すぐにポンポン卍解するイメージの強い狛村隊長。
明王のパワーでゴリ押すだけでなく、自分が攻撃を受けにくい『天譴』も戦いに取り入れてみたら勝利につながる事もあったかもしれません。
ご覧いただきありがとうございました。